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冬キャンプ遊びに最適
イグルー(雪の家)作りを
体験してきた

長野県の冬キャンプシーンを盛り上げるプロジェクト「Nagano Fuyu Camp Lab.」。新たなアクティビティとしての冬キャンプの可能性を探るべく、研究員自ら体を張って実践と研究を行います。

更新日:2021/08/31

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2021年シーズン最初のフィールドワークの舞台は須坂市峰の原高原の「ペンションスタートライン」。ここでは毎年、長野大学環境ツーリズム学部の学生がゼミ活動で「イグルー(雪の家)作り」を行っており、今回はこのゼミ活動に研究員が参加させていただき、雪中キャンプをしながらイグルー作りを体験してきました。極寒の地で新たな〝 冬キャンプ遊び〝 発見してきました。

真冬のテニスコートに
キャンプベースを設置

本日のイグルー作りと雪中キャンプの会場はペンションに併設されたテニスコート。冬場のテニスコートの活用を検討されていたオーナーの古川さんに特別に許可をいただき、雪中キャンプとイグルー作りをこの場所で体験させていただくことになりました。

この日は午後から天気が荒れる予報となっていたため、晴れている間にできることを優先し、まずは、ベースとなるテントとタープの設置から取りかかります。

峰の原高原の雪はサラサラのパウダースノー。湿気の少ない軽い雪で雪かきも簡単。テニスコートなので傾斜もなく、短時間で整地作業が完了しました。

テントの底部分を広げ設置場所を決めます。

場所が決まったらペグの仮止めをし、テントの上部を組み立てます。

テント完成!設置までに要した時間は約10分。昨年に比べテント設置能力も確実にレベルアップした研究員。

テント内に雪が入り込まないよう、タープはテント入口と接合するよう設置。

冬キャンの生命線〝 焚き火〝 の準備。今回はキャンパー心をくすぐる「ファイヤースターター」で着火を試みます。

こちらも新調したギア「火吹き棒」を使い、種火を大きく育てます。

本日天候悪化が予想されるため、焚き火台はダブルスタンバイ!

テント内は地面からの寒さを考え断熱シートと厚手のラグを敷き、さらに簡易ベット(今回はペンションよりお借りしました)も準備し万全の防寒対策!

昨シーズン雪中キャンプを経験している研究員。風向きや移動のしやすさを考慮してテントとタープの設置ができる余裕がありました。これでどんな天候になっても冬キャンプが楽しめそうです。と思っていると徐々に雪と風が強くなってきました。

いよいよイグルー作りを体験

キャンプベースが完成したので、次はいよいよイグルー作りです。今回は、天候や作業時間を考え、テント班と学生中心のイグルー班に分けて同時に作業を進めました。テント班がミッションを終えたため、ここからイグルー班に合流しイグルー作りに本格的に参戦します。イグルー班、学生の皆さんお待たせしました!

実はこの高原に降る雪は固まりにくいため、前日に木枠の中に雪を入れて踏み固めた圧雪ブロックを用意しました。前日は雲ひとつない快晴、いい天気でした。

完成した圧雪ブロック。できたての豆腐のよう。

イグルーの壁となるブロックを切り出します。使うのは大型のノコギリ。ザクザクと気持ちよく圧雪ブロックを切り出します。

切り出したブロックは貴重な素材。落とさぬよう慎重に運びます。「1個5000円ぐらいの品物と思って運びましょう」とプレッシャーをかけられる研究員。ブロックを持つ手に力が入ります。

イグルーの基礎を準備。土台の良し悪しでイグルーの完成度が左右するので、ここはイグルー作りの達人、古川オーナーに的確なアドバイスをいただきます。

バランスを考えながら平行にブロックを積み上げ、イグルーの壁を作ります。

雪:水=7:3の割合で作ったブロックの接着材。学生の皆さんはこの接着材を「シャベシャベ」と呼び、このシャベシャベでブロックとブロックの間にできた隙間を埋めていきます。こうすることでイグルーの強度と空間の機密性が生まれます。

全体的に丸い形にしていくため、ブロックは少しづづ内側(室内側)に積み重ねていきます。重心がどこにあるのか、中にいる人と声を掛け合いながら慎重に積み重ねます。

背丈と同じくらいの高さまで積み重ねたら、ここからはいよいよ天井部分の取り付けに移ります。ふと時計を見るとお昼を過ぎていました。ここでランチタイム。
 

今日のメニューは豚汁。業務用鍋で豪快に煮込んだ豚汁は最高です。
 

冷えて疲れた身体が芯から温まるメニュー。温かい食べ物を食べると不思議と笑顔が多くなります。
 

残念なことに、ランチ休憩後は雪と風がさらに強さを増してきました。手足が冷たくなるため、焚き火に集まって暖をとります。これがとっても暖かい。体を十分に温めて難関作業に取り掛かります。
 

天井部分のブロックは、壁のブロックより厚みを薄くして長めに切り出します。一番下にあるのが壁用のブロック。上の3つのブロックが天井用ブロックです。

中から重さのかかっている箇所を確認しながら切り出しチームに、ブロックの長さや厚さの細かなオーダーを入れます。

薄めのブロックを左右のブロックに架けるよう重さを分散させながら積み上げていきます。

余ったブロックで入口を整えて完成です。

完成したイグルー。入口には三角形の耳のような飾りでデコレーション。

完成したイグルーの前でバンザイ!やっとできたという安堵の気持ちとチームで成し遂げた達成感でいっぱい。この数時間雪だけでここまで盛り上がり楽しんでいたことに驚きました。
 

今回作ったイグルーは直径が約3メートル程の大きさで、中には5~6名程入れる空間が出来上がりました。事前の下準備があったとは言え、完成までの所要時間は約5時間ほど。イグルー作りは、チームビルディングと長期滞在で楽しむ事ができるコンテンツであることが分かりました。

完成したイグルーで
冬キャンプを楽しむ
 

完成したイグルーを冬キャンプでどう楽しむか。早速入ってみると、室内は想像以上に暖かく静か。外は吹雪でタープでは風から身を守れませんでしたが、まさにシェルターという言葉がピッタリで暖かく、耳がキーンとなるような静かな空間です。これは冬キャンプを楽しむアイテムとなりそうです。
 

まずは、室内に照明を入れてみます。いい雰囲気になってきました。

お気に入りのギアを並べると秘密基地のようでワクワクしてきました。

夕食はトマトを一緒に煮込んだおでん。

続いてチョコフォンデュで食後のデザート。ガスバーナーで温めたチョコレートが冷めにくいのでゆっくり楽しめます。

音が外に漏れにくいため、心置き気なく語り合いたい時には最適なスペース。本日参加いただいたキャンプ場経営者の方と冬キャンプの今後について語り会いました。

この他にも、本を読む空間として、また楽器を持ち込んでミュージックを楽しむ空間としても楽しむ事ができそうです。また、天井にアクリル板を埋め込めば、星空を楽しむドームとしても利用できそうです。さらに温度が保たれるため、食料の保存庫としての活用も可能です。はじめての冬キャンプでは、外気の寒さで食材が凍ってしまいました。ミニイグルーを作って冷蔵庫にするという使い方もできます。「クーラーボックスでいいじゃん」という声も聞こえてきそうですが、そこにあるもので作るという発想がキャンプをさらに楽しくするアイデアだと実感したフィールドワークでした。

今回の冬キャンプで学んだこと

○天候をチェックした事前準備が大事
○イグルー作りは時間とチームワークが必要
○イグルーは冬キャンをさらに楽しむアイテム
○何かを作る楽しさはキャンプの醍醐味

番外編

今回寒い場所ならではの実験として、こんな事も試してみました。

1)濡れたタオルは振り回すと瞬時に凍るのか?
2)凍ったバナナでペグは打てるのか?
3)スノーエンジェルは誰にでもできるのか?

水に濡らしたタオルを勢いよく振り回す研究員。

数秒で凍り、タオルを縦にして持つことができました。

バナナを凍らせるため一晩外に。皮が変色して茶色になってしまいました。

ペグが雪の中に入っていく。

ふかふかの雪の中に、腕を広げて背中からダイブ。手を上下に動かします。

なんとなくエンジェルができました。

フィールドワークの会場

冬キャンプができるキャンプ場

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