エリアガイド阿智昼神
心を潤す四季折々の自然にふれ、温泉で体をゆるめる旅はいかが。
山あいの静かな村をドライブ
岐阜県に接する山あいにある阿智村は、会地(おうち)、駒場、伍加、清内路、園原、浪合、昼神、横川の8つのエリアに分かれ、標高600mから1,200mまでに60もの集落があります。どのエリアも四季折々に変化する豊かな自然にあふれ、春は花桃、夏は星空、秋は紅葉、冬は「ヘブンスそのはら」でスキーやスノーボードとさまざまなアクティビティーが楽しめます。
なかでも人気があるのは「昼神」エリアです。実際に訪れる際は、車での移動が便利です。高速道路を使えば中央自動車道園原ICまたは飯田山本ICから約10分という近さで、観光客の7割がマイカーで訪れています。村までの道のりは山あいの豊かな自然を車窓から眺めることができるので、ドライブが好きな人にもおすすめ。ほかの交通手段では村内でも特に人気がある昼神温泉発着の高速バス、電車の場合は「上諏訪駅」もしくは「中津川駅」から直通のツアーバスが運行しています。
「美肌の湯」と名高い昼神温泉へ
1973年(昭和48年)、トンネル工事の最中にたまたま温泉が湧き出したのが昼神温泉のはじまりです。そこから次々と温泉開発が進んでいき、渓谷を流れる阿知川沿いを中心に19軒の温泉宿と1軒の日帰り温泉施設が立ち並んでいます。昼神温泉の泉質はアルカリ性単純硫黄泉で、ph9.7と強アルカリ性を誇ります。無色透明の湯に浸かるとしっとりとした湯が肌の古い角質を取り除き、すべすべになることから「美肌の湯」ともいわれています。地元の女性たちが中心になって開発した温泉のスキンケア商品や入浴剤は、おみやげとしても人気です。
ほかにも365日休まず開かれている朝市は、地元の農家さんが収穫した季節の野菜や加工品、民芸品などさまざまな商品が並びます。早起きして温泉街を散策しつつ朝市に立ち寄り、村民とのおしゃべりを楽しみながら買い物をする時間も、旅の良い思い出になることでしょう。
標高1,400mの高原で楽しむ星空
景気の低迷により観光客が減少したことをきっかけに、阿智村では温泉に次ぐ新たな観光資源の掘り起こしが行われるようになりました。そこで2006年に環境省から「日本一星空がきれいな村」として認定されたことに着目。地元では当たり前すぎて気がつかなかった〝美しい星空〟をコンテンツに、富士見台高原のヘブンスそのはらで「天空の楽園ナイトツアー」をスタート。標高1,400mの高原まで全長2.5kmの距離をロープウェイを使って約15分進むと、街なかでは決して見ることができない無数の星の輝きや月明かりを体感することができます。しかし、山の天気は変わりやすいもので、このエリアの晴天率は60%。星空が見えない日でも「星を軸に気楽に楽しんでほしい」と映像や音楽などのプログラムも用意するなどエンターテインメント性を重視。いつ訪れても楽しめることから、現在では年間約17万人が参加する人気のツアーになっています。
村に彩りを添える、赤白ピンクの花桃
春の阿智村といえば、花桃が有名です。伊那谷から木曽谷を結ぶ国道256号線にある「はなもも街道」。約40kmの街道沿いには、地元住民が中心になって植樹した、約5,000本もの三色花桃が観賞できます。また、近隣の月川温泉郷は「花桃の里」として知られ、約4kmの道のりに約5,000本の花桃が植えられています。晴れた日はとくに美しく、すっきりとした青空と芽吹き出したやわらかな葉の緑が、艶やかな花桃を見事に引き立てます。例年4月中旬から5月中旬にかけて見頃を迎えますが、春にしか出合えない風景を観にたくさんの観光客や写真愛好家が訪れます。村内は標高差があるので場所によって開花時期も異なり、つぼみや満開、散り始めと花のうつろいを愛でながらドライブを楽しむことができます。
温泉に星空、花桃...。阿智村の地元住民が主体となって育て続けた観光資源の数々とふれ合う旅にでかけませんか?