エリアガイド松代

松代

立派な表門や石垣など、まるで時代をタイムスリップしたような街並みが広がる松代エリア。
この地に所縁が深い歴史上の人物も多く、
ぶらり散策すれば新たな出合いと発見があなたを待っています。

真田家ゆかりの地

上信越自動車道・長野ICから車で約5分という好立地にある松代町。戦国時代から上田地域で活躍していた真田家は、1622(元和8)年に松代藩主としてこの地に移り、松代城本丸に御殿を建築。松代藩の拠点にしました。そこから250年間、真田十代十万石の城下町として栄えました。その後、廃城に伴い建物は壊されて石垣だけが残っていましたが、国の史跡に指定されたのを受けて櫓門や木橋などが復元。現在では桜の名所としても知られ、例年4月中旬に見頃を迎えます。
ほかにも真田ゆかりのスポットはたくさんあります。真田家12代当主が譲渡した真田家の貴重なコレクションを収蔵・展示する「真田宝物館」、文武の奨励を目的に建てられた「松代藩文武学校」、真田幸教の義母・お貞のために建てた「真田邸」、火の見櫓の役割も兼ねていた「旧松代藩鐘楼」、真田家の家臣「旧樋口家住宅」など、コンパクトな街なかに見所が詰まっています。

桜の名所としても知られる「松代城跡」は、ソメイヨシノなど約100本の桜が咲きます

象山に須磨子、松代が生んだ偉人

松代藩士の家に生まれた佐久間象山は、学者・思想家として幕末時代に活躍した武士たちに大きな影響を与えた人物です。1938(昭和13)年に創建された象山神社には、佐久間家の住宅跡や生誕の碑などもあります。「象山記念館」では、彼が製作した電気治療器や医薬用蒸留器、政治に関する記録、遺品、遺墨などを展示。また日本で初めて電信実験を行なったことにちなんで、明治から昭和の電話機も展示しています。なかにはこの記念館にしかない貴重な電話機もあります。
ほかにも近代演劇で初の女優として活躍した松井須磨子、富岡製糸場の工女として働いた日々をまとめた『富岡日記』の著者・和田英、作曲家の開沼實など、松代から多くの偉人が生まれています。

地元の有志によって建てられた「象山記念館」

歴史的な文化遺産を巡る

町内には、台形のようなシルエットが特徴的な山を目にします。標高659mあるこの山は「皆神山」といい、かつて火山のマグマが表出したものが冷え固まってできた溶岩ドームです。山の中腹には天照大神を祀る岩戸神社の石室、山頂には「皆神神社」があります。車でも気軽に山頂までいけますが、歩いても片道1時間程度で登頂することができます。
また、舞鶴山を中心に皆神山、象山の山中に碁盤の目のように掘られた地下坑道跡「象山地下壕」は、第二次世界大戦時に軍部がこの地に大本営を移す計画のもとに建設されました。この工事は終戦となった1945(昭和20)年8月15日まで行われ、全工程の8割が完成。現在は貴重な戦争遺跡として、一部を無料で公開しています。壕内は水滴で濡れていたりデコボコしているので、見学の際は歩きやすい靴で見学しましょう。

碁盤の目のように掘られている「象山地下壕」。建設当時で億単位の金額が投じられました

温泉にグルメ、体験も!魅力が満載

松代の魅力は歴史だけではありません。近隣にある「松代温泉」は、鉄分をたっぷり含んだ湯が空気に触れると茶褐色に変化。塩分も含んでいるので、体の芯から温まると評判の湯です。
食では「長いも」や「あんず」が名産です。太さと長さがある長いもは粘り気がよく甘みがあり、すりおろしてとろろにしたり、煮物やソテーなど、さまざまな料理と合います。また、東条地域で栽培されているあんずは生食用や加工品として販売されています。
体験やおみやげなら、「松代焼」はいかがでしょう。松代焼は地元の粘土などを使用し、釉薬を二重にかけることで独特の光沢がかった青緑色が特徴の焼き物です。町内には窯元が3軒あり、予約をすれば陶芸体験もできます。1日たっぷり時間をかけて、歴史散策からグルメ、体験、そして温泉のフルコースを楽しみましょう!

長野市の伝統工芸に指定されている「松代焼」は、素朴な造形と独特の色合いが特徴です