エリアガイド美ヶ原高原

美ヶ原高原

ドライブを楽しんだ先に広がるのは、日本一広い高原大地「美ヶ原高原」。
周囲に広がる名だたる山々を眺めながらトレッキングやハイキングが楽しめます。
近年は「タイムラプスの聖地」として写真愛好家も多く集います。

半数近くの日本百名山が見える高原

八ヶ岳中信高原国定公園の最北に位置する「美ヶ原高原」は、長野県松本市、上田市、長和町にまたがっています。日本一広い高原大地として知られ、中心には日本百名山のひとつ、標高2,034mの主峰・王ヶ頭があります。かつて火山によって侵食されてできた台地は周囲にさえぎるものはありません。そのため、富士山や北アルプス、南アルプス連峰、御嶽山など、百名山のうちの40山以上を見渡すことができます。
美ヶ原高原へのアクセスは、松本市から国道254号を経由し美鈴湖から上がっていくルートと、ビーナスラインという観光道路を使っていく2つのルートが一般的です。松本市側からは「美ヶ原自然保護センター」で、ビーナスライン側からは「美ヶ原高原美術館」で駐車。そこから散策がスタートです!

見渡す限りなだらかな台地が広がる「美ヶ原高原」。圧巻の広さです

大パノラマの絶景を眺めながら散策

複数あるコースの中でも、整備された遊歩道「美ヶ原パノラマコース」や、南北アルプスをはじめ御嶽山や乗鞍岳などの山々がよく見えるハイキング道「アルプス展望コース」が人気です。
高原のシンボル的モニュメント「美しの塔」は、霧が深くなると鐘を鳴らして位置を知らせる霧鐘塔(むしょうとう)の役割を備えています。側面には、美ヶ原高原の開発者である山本俊一翁(やまもとしゅんいち おきな)の銅像と、詩人・尾崎喜八が書いた「美ヶ原」の詩が記されています。美ヶ原台上の西端部にある「王ヶ鼻」は絶好のビューポイント。ここから御嶽山がよく見えることから、古くは御嶽信仰の山岳信仰のメッカとして講社が集いました。美ヶ原の最高地点「王ヶ頭」のそばには電波塔が多数設置されています。美しい自然のなかに異色な存在感を放つ人工物のコントラストも、この高原でしか見られない光景でしょう。

1954年に建てられた「美しの塔」は、この地にある鉄平石が使われています

グリーンシーズンは高山植物や牛がお出迎え

高原内には美ヶ原牧場畜産農業協同組合が運営する「美ヶ原牧場」もあります。その歴史は古く、平安時代末期の朝廷が管理していた牧場がルーツといわれています。例年5月下旬から10月中旬にかけて、県内で飼育されている約200頭の牛が放牧されます。約600ヘクタールある広大な敷地の中でのびのびと過ごしている牛や馬の様子を柵越しに見ることができます。
草木が芽吹き始める5月以降は、コケモモやクリンソウ、レンゲツツジ、ノアザミなど約200種類の高山植物が咲いて、高原に彩りを添えていきます。

牛は暑さに弱いので、夏場は比較的涼しい高原で過ごします

高原の風景をタイムラプスに記録

太陽が雲に隠れると山の陰影は濃くなり、風が吹くと低木や草花が揺れて形を変える...。高原を散策していると、一瞬たりとも同じ景色はないと気がつきます。近年、「タイムラプスの聖地」として多くの写真愛好家から人気を集めるようになった理由には、タイムラプスに適した変化し続ける美しい自然があるから。もちろん撮影するのは日中だけではありません。360度さえぎるものがなく、人工的な明かりがない高原から見る星空は、普段目にするものとは別次元の数と輝きです。そこから再び朝を迎えると放射冷却によって雲海がくっきり見える一連のドラマチックな風景は、宿泊しないと出合うことができません。近隣にはホテルや民宿、オートキャンプ場もあるので、滞在型の観光もおすすめです。
見どころが満載の美ヶ原高原、自分の体力や滞在可能時間に合った服装や装備で楽しみましょう!

夜の美ヶ原高原は星空がよく見え、日中とは異なる美しい景色が広がります