エリアガイド上高地
年間120万人が訪れる上高地。清らかな梓川に架かる河童橋から望む山々、大正池や明神池、
木々の緑が織りなす風景は「神の降り立つ地(神降地)」という言葉を思わせてくれます。
上高地のランドマーク・河童橋
上高地の中心にあるシンボル的な存在といえば河童橋。現在のつり橋は、1997年に架け替えられた5代目で、長さは約36m、幅は約3m。最初の橋がいつごろ架けられたのかは記録に残っていませんが、以前は、両岸から木材を架けた跳ね橋だったとのこと。1910年につり橋になりました。
橋周辺は上高地きってのにぎわいをみせるエリアで、土産物店やレストラン、ホテルが並びます。橋から梓川をのぞくと、春にはケショウヤナギの緑、秋には色とりどりの紅葉が水面に移り、見上げれば、壮大な穂高連峰や焼岳が望めます。
突如現れた神秘の池・大正池
河童橋から少し南にいくと現れるのは穂高連峰や焼岳が映り込む、鏡面のような美しい水面。大正池は昼間だけではなく、夕暮れや早朝など、時間によってさまざまな表情を見せてくれます。雨上がりはもやが立ちのぼり、幻想的な雰囲気に。空が大きく開けた大正池周辺は、夜ともなれば漆黒の闇に包まれ、星空観察のスポットになります。晴れた日の夜、空を埋め尽くす星の輝きは、宿泊した人だけが堪能できる極上の光景です。上高地帝国ホテルなど屈指のリゾートホテルがあるほか、小梨平キャンプ場、徳沢キャンプ場、横尾野営場の3つのキャンプ場もあり、さまざまな旅の形が楽しめます。
大正池は、大正4(1915)年6月、焼岳の大噴火により、大量の熔岩や泥流に梓川がせき止められてできました。その際、水没した木々が立ち枯れとなり、神秘の景観をもたらしています。当初は、河童橋と現在の大正池のおよそ中間に位置する田代橋あたりまでが湖になっていたとも言われています。
四季の移り変わりを感じる田代池・田代湿原
河童橋と大正池を結ぶ上高地自然研究路の途中、カラマツ林に囲まれた田代池があり、霞沢岳や六百山を通ってやってくる伏流水がこんこんと湧き出しています。
原生の森を抜けた先にある田代湿原は、穂高連峰の眺望が素晴らしく、三脚を用意して写真を撮る人の姿も多く見られます。開山直後は霜が降りることもありますが、初夏にかけては新緑が輝き、オレンジ色のレンゲツヅジが咲きます。夏の盛りを過ぎると、徐々に色合いが移り変わり、秋にはセピア色に包まれます。11月に入り、閉山間際には再び霜が降り、白くきらめく風景が広がります。
北アルプスの総鎮守「穂高神社」の神域・明神池
明神池には、ひょうたんのような形でつながる一之池と二之池、そして遊歩道脇に三之池があります。針葉樹に囲まれた池の間近には明神岳がそびえ、美しい風景を生み出しています。
池畔に鎮座するのは穂高神社奥宮。御祭神は穂高見命(ほたかみのみこと)で、日本アルプスの総鎮守、海陸交通守護の神様です。山の恩恵に感謝し、登山の安全を祈願する参拝者が絶えません。毎年10月8日には、御船神事として穂高神社奥宮例大祭(明神池お船祭り)が行われ、平安装束に身を包んだ神官が雅楽の調べとともに、2艘の船で周遊します。
上高地をくまなく歩こうとすると5時間ほどを要します。はじめて上高地を訪れる人は、プロガイドと歩くのもおすすめです。