と教育

子どもの心と体を育む「雪育」のススメ

「雪育」という言葉をご存知ですか?

 「食育」という言葉があります。これは、さまざまな経験を通じて「食」に関する知識とバランスの良い「食」を選択する力を身につけ、健全な食生活を実践できる力を育むこと。人間が健やかに生きるための基本的な知識のひとつと位置づけられ、特に子どもたちの心身を養う上でとても大切な教育として提唱されています。
 さて、「雪育」という言葉をご存じですか? スキー・スノーボードなどのスポーツや雪遊びなどの雪体験を通じて、子どもの心と体の健やかな成長を促そうという取り組みです。
 最近ではライフスタイルの変化等により、屋外で遊ぶ子どもたちの姿はかつてほど見られなくなりました。しかしそんな時代だからこそ、大自然の中で思いきり遊ばせたい。そんな願いと、都会ではなかなか味わえないスノーリゾートならではの雪体験の効果に注目したのが「雪育」です。
 インドアはもちろんアウトドアでも、ほとんどのスポーツが年間を通して楽しむことができますが、その点でスキー・スノーボードはかなり異彩を放っています。冬の数カ月間だけ、しかも山に雪の恵みがあってこそできるスポーツだからです。
 何もスキー・スノーボードだけではありません。雪を見る、雪に触れる、雪と遊ぶなどの雪体験はまさに非日常の世界。そんな貴重な体験が子どもたちの心と体に少なからず影響し、良い効果を与え、脳の活性化にも有効だといわれています。

子どもの発達に影響を及ぼす「雪育」

 雪育とは「雪のある自然環境を活用しながら、子どもの発達を促す教育的関わり」。
 石崎一記東京成徳大学応用心理学部教授は発達心理学的な観点から、そこで「何をするか」によって、さまざまな広がりや可能性が考えられるとしています。雪育が子どもの発達に及ぼす良い影響について、石崎教授は次のポイントをあげています。

非日常的な感覚運動体験

雪の冷たさや滑るスピードなどの実感は、雪のある自然環境ならではの非日常的な体験です。時には辛さすら感じさせる雪体験も含めて、日常では感じることができない感覚を心と体で味わうことは、子どもたちにとってとても貴重な体験になります。

「自律性」の発達

 スキー・スノーボードは、コースや人の動きなど周囲の状況を判断し、つねに自分の意志で「止まる」「曲がる」「スピードを上げる(落とす)」などの行動を決めていく必要があります。しかも、「止まれない!」「曲がれない!」といった時にどうするか試行錯誤する場面も連続します。
 自分で考え、工夫して乗り越えようとする「自己決定」と、その課題をクリアした時の“自分はできる”という自信や達成感(有能感)。これらは子どもの「自律性」の発達に大きな影響力を及ぼします。
 スキー・スノーボードは自己決定し、有能感を感じることができるシチュエーションがとても多いスポーツ。子どもの成長に他の自然体験と同等か、それ以上の効果が期待できます。

親との豊かな体験の共有

 今、多くの親が「子どもとの接し方が分からない」という悩みを抱えているといわれています。
 スキー・スノーボードやそり遊び、雪合戦、雪だるまづくりなどを親子で一緒に楽しむことで、子どもは親とのつながりを感じ、共通の話題も生まれます。親も「子どもを遊ばせる」というスタンスではなく「子どもと遊ぶ」ことで自然と会話が弾み、子どものことをより知ることができます。
 このようにファミリーで雪を楽しむことで、豊かな親子関係を築くことにつながります。

友達とのふれあいや切磋琢磨

 スキースクールや子どもだけで参加できるキッズキャンプのようなツアーに参加することで、友達との触れ合いと切磋琢磨する機会が生まれます。これも子どもの心の成長にとってとても重要です。



 一年の中で冬の数カ月間しかできない雪体験。そんな貴重な体験だからこそ、より素晴らしい環境の中で楽しみたいというのが人情というものです。
 信州はあらゆる雪体験が楽しめる日本有数のスノーフィールド。スキー・スノーボードはもちろん、ソリやさまざまな雪遊び、雪体験まで、誰もが楽しめる理想的な環境に恵まれています。
 雪のある非日常の世界を体感することで、子どもたちの人間形成につながる「雪育」。素晴らしい信州のスノーフィールドでぜひ体験してみましょう。