「棒寒天」日本一の産地で、
見て・食べて・感じる
寒天づくりガイドツアー
諏訪エリア 茅野市
日本有数の寒天の産地・長野県茅野市で、
本格的な寒天づくりを体験してみませんか?
知る人ぞ知る棒寒天の一大生産地長野県茅野市。江戸時代より寒天づくりが行われている地域です。
茅野市で八ヶ岳を見渡す山麓に工場を構え、80年以上にわたり寒天を生産している有限会社イリセン。実際の製造現場を見学して冬には寒天を天日干しにするために畑にならべる「天だし体験」もできる、イリセンの寒天づくりガイドツアーに参加しました。
最大20名まで参加できます
とてものどかで開放感がある風景
寒期の天だし風景は茅野の冬の風物詩です
三代目社長の茅野文法さんからお話を聞きます
最大20名まで参加することができる寒天ガイドツアー。
この日の体験人数は8名。多すぎず少なすぎずちょうどよい人数で、三代目社長の茅野さんから寒天についてのお話を聞きます。
寒天のこと。粉になったものしか知らなかったり、棒寒天を知っていても使い方が分からなかったり、知識のレベルは人それぞれですが、茅野さんはあらゆる人に向けて寒天のことを説明してくれます。地元や近隣エリアの小学生が工場見学に来ることもあるそうで、説明がとても丁寧でわかりやすい!
気になる寒天の正体について。寒天の原料は天草やオゴ草などの海藻です。海藻を水洗いして窯で煮出し、煮汁を固めてできたぷるぷるのトコロテンの元を、凍結~乾燥させたものが寒天です。
製造期間は、12月から2月の寒い時期、60日間ほど。地球温暖化の影響で製造に適した時期は昔より短くなっているそうです。
なぜ海に隣接していない山岳エリアが寒天の産地になったのか?疑問を持つ人が多いようでスライドを用意してわかりやすく説明してくれました。寒天を屋外で干して凍結させるには厳しい寒さが必要で、気温が-10℃~5℃をいったりきたりする茅野市の冬は条件に適しています。ただ寒いだけならば他にも適した土地がありそうですが、それだけでは良質な寒天はできません。水分をうまく抜かないといけないので、雨や雪にあたらないことが大事です。高い山に囲まれて雲が削られるためか、日中はからっと晴れることが多い茅野市の気候は、まさに寒天作りにうってつけだそうです。体験をした日も気温は低く寒かったのですが、空は雲一つなく晴れていました。
before:原料の天草・おご草。山なのに磯の香りが漂います
after:原料の海藻が2週間で真っ白な棒寒天になるなんて驚きです!
スライドを使って丁寧に説明をしてくれます
工場・窯場を見学
ここからの案内は、茅野さんからイリセン工場作業担当の坂本潔さんにバトンタッチ。製造現場に移動して、それぞれの工程を見ていきます。最初に海藻を洗う装置を見せてもらいました。寒天作りに欠かせない水は、水が豊富な茅野ならではの自然地下水を使用しています。厳寒期に水仕事、厳しい仕事です。
洗った海藻をふやかす水槽がいくつも用意されています
最盛期には全ての水槽が海藻でいっぱいになります
装置を動かして海藻を洗っている様子
次に寒天を煮出すための釜を見学します。
釜は木で出来た樽の中にあり、人の身長よりも底が深く、落ちたら自力で外に出ることが出来ないほどの大きさです。今はもう作れる人がいないのではないかという話です。貴重です。ここで海藻を高温で煮出したあと、ショベルですくいあげて濾します。
濾したあとの海藻のがらは、知り合いのりんご農家さんが肥料にすることもあるそうです。塩分が残っているため、作物に向き不向きがあるそうですが、煮出したあとの海藻が土の中で作物の養分になるなんて、無駄がない!
足元は滑りやすくなっているので注意が必要です
冬場に機械を温めるための暖房器具
寒天液を固めるパレット(=もろぶた)とても重いです
天干しを体験する
そしてお待ちかねの体験タイム。外に出て天出しを体験します。もろぶたの中でぷるぷるになった寒天を切って、乾かすために並べる作業のことを「天だし」といい、地元の小学生にも大人気なのだとか。
まずは寒天を縦長の形にカットします。使う道具は寒天を切る専用包丁「天切り包丁」で、木の持ち手に干す寒天のサイズにあわせた刃が均等に並んでいます。
実際に使ってみると、寒天の弾力が思ったよりも強く、手が押し返される感覚があります。手を引くとスーッと綺麗に筋が入ります。
カットした寒天は木の枠の中に行儀よく並べます。この段階では水分をたくさん含んでいるため、ぷるぷるとみずみずしく手触りがすごく気持ちいいです。この、乾かす前の寒天を天付きで押し出したものがところ天です。
最初は一本ずつ並べましたが、慣れてくるにつれて三本同時に運ぶなど楽しみが増えました。
ここで参加者から「外で干す必要はあるのですか?」と質問があり、丁寧に答えてくれる茅野さん「粉寒天は、機械で乾燥させて作る製法もありますが、昔ながらの棒寒天は外で天日干しをするのが一般的です。洗濯物をイメージしてもらうと分かりやすいのですが、部屋干しはゴワゴワするけど、外で干すとふんわりしますよね。外で干すことによって、ふんわりと優しく乾燥させることができるんです。天気は雨が一番困ります。雪はシーズンの最初にどかっと降ってくれると、それ以降ホコリが舞わなくなるので助かります。」自然の力、素晴らしい!
寒天を並べ終わったら、木枠を外し「注射」とよんでいる道具で中の空気を逃がすため表面に穴を空けます。この後2週間ほど、屋外の空気で凍結と乾燥を繰り返し、天然フリーズドライの棒寒天が出来上がります。
注射にはたくさんのトゲがついています
寒天を干す棚
冬になると寒天が並びます
試食タイム
寒天のすごいところは、ほぼゼロカロリーなのに、食物繊維が豊富なところです。
ただ、寒天から連想する、羊羹や寒天寄せなどは一度煮溶かして型に入れ固まるのを待つ必要があり、どうしても手間のかかるイメージがあります。せっかく身体にいいのに取り入れるのに手間がかかる、この手間をどうにかしたい!
この体験では現代のライフスタイルにあわせた寒天の食べ方を提案してくれます。
一番手軽に取り入れられるのは乾いた寒天を水で戻さずに、小さくちぎってそのままスープや味噌汁に浮かべて食べる方法。
この日はオニオンスープに浮かべていただきましたが、トロトロだけど溶け切らず、層になった寒天はツルっとした舌触りで癖がなく、なるほど、どんなスープにも合うなと驚かされます。
こんなに手軽で、カロリーほぼゼロなら毎日に取り入れやすい!
また、イリセンでは食べ方だけでなく新しい寒天の商品も開発しています。
製造の過程で出る規格外の商品に着目をして、構想から8年かけて出来上がったのが、手軽につまめる寒天お菓子「おかしなかんてん」です。干した寒天は癖がなく、ほぼ無味なので、味付けをしてスナック菓子に。観光地のお土産屋さんなどで販売していて、規格外の商品のロスは減り、お客さんは珍しがって美味しくて喜んでくれる。双方にとって嬉しい商品です。
「伝統ある産業の中にも新たなチャンスはたくさんある」という考えの茅野さん。
この寒天ガイドツアーも地域の産業と観光を結びつけることで、産業も観光も活性化したいという想いをもって始めたそうです。
産業を守りつつも時代や状況にあわせ次々とアイデアをかたちにしていく茅野さんの姿勢からは地域や産業に対する強い想いを感じます。
見て・食べて・感じて 寒天が身近になる!
工場見学のパートでは、見慣れない装置や道具にワクワク。天だし体験のパートでは、プルプルの触感に感動。話を聞くパートでは、原料の高騰や人手不足、地球温暖化の影響など、寒天産業をとりまく厳しい状況のなか、製造工程の見直しや新しい食べ方の提案など新しい挑戦を続ける姿勢に胸をうたれ、学びと感動の要素がぎっしりつまった体験をすることができました。
伝統産業をとりまく現状を知りたい方や、信頼できる食を求める人におすすめの体験です。
工場見学や作業の体験もできるためお子様も楽しめるようになっています。
今回は雪が降る前に参加しましたが、雪が降ると、雪景色のなか太陽を反射してキラキラと輝く寒天を見ることができます。
更新日:2020/10/07
ツアーガイドおススメポイント
天日干しにするため寒天を畑一面に並べる光景は茅野の冬の風物詩です。体験は通年で実施していますが、天だし体験や、寒天畑を見学できるのは冬のシーズンだけ。見たことのない風景と、地域の産業に触れる感動が待っています。
ツアーガイド一般社団法人 ちの観光まちづくり推進機構
ツアー参加者の感想
寒天については土地の特徴を活かして季節限定で作られる名産品というイメージがあり、茅野の地場産業の魅力に触れたいと思い参加しました。
参加してみて、初めて見る装置や機械にテンションが上がり、たくさんの工程は必要なものばかりで、スーパーで商品を手に取るだけでは分からない物語を感じることが出来て満足しています。試食と購入が出来たので、寒天との繋がりが、ツアーに参加してお終いにならなくてよかったです。
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