北アルプスの麓、田園風景が広がる安曇野市で
サイクリングを楽しむおすすめスポット
日本アルプスエリア
北アルプスの麓、長野県のほぼ中心部に位置する安曇野市は、
豊かな自然や田園風景が広がるなかに、美術館やカフェ、観光スポットなどがある人気エリア。
心地よい自然に包まれる安曇野市で、サイクリングを楽しみませんか。
安曇野市の市街地は比較的アップダウンが少なく平坦な土地なので、自然を肌で感じつつ移動の小回りもきく自転車の旅がおすすめ。JR穂高駅前ではレンタサイクルやシェアサイクルを利用できるので、気軽に自転車の旅を楽しめます。自転車なら徒歩に比べて行動範囲が広がり、車やバスとは違い、安曇野の風を感じながら道草旅を楽しんだり、路地裏を巡ってみたり、のどかなひとときを過ごすことができます。
まずは穂高駅前で
自転車をレンタル
旅のスタートは北アルプスの入り口松本駅を経由してJR大糸線で約30分の場所にあるJR穂高駅から。ロータリー正面にある煉瓦造の建物「安曇野市観光情報センター」には、観光情報や地図などが揃い、安曇野観光を歓待します。ここで観光情報を入手したら、近くの自転車レンタル店へ。「しなの庵」や「ひつじ屋」などのレンタサイクル店があり、普通自転車や子ども用自転車のほか、電動アシスト自転車やマウンテンバイクなどのスポーツバイクもあります。
さらに、レンタサイクルだけでなく、15分単位で自転車が借りられるシェアサイクルのシステムも。2018年夏に始まった安曇野市観光協会による事業で、ステーション(サイクルポート)であれば、どこでも返却が可能です。
現在、シェアサイクルのステーションは、穂高駅のほかにJR明科駅や豊科駅、大王わさび農場、アートヒルズミュージアム、国営アルプスあづみの公園(堀金穂高地区)など、安曇野市外のエリア内に点在し、アプリやWEBで会員登録をすればすぐに利用可能。なんと、全台電動アシスト付です。
利用料は15分100円・12時間最大1,500円で、利用期間は4月~11月末。ただし、子ども用のシェアサイクルはないので、ご家族連れはご注意を。
なお、穂高駅と観光情報センターにコインロッカーがありますが、レンタサイクル店でも自転車を借りると、無料の荷物預かりサービスを利用できます。
大王わさび農場から
せせらぎの小路へ
日本の原風景を満喫する
では、今回は穂高駅をスタートし、日本一広大なわさび園「大王わさび農場」を経て、清流沿いの「せせらぎの小路」を巡ってみましょう。北アルプスを眺めながら田園地帯や道祖神、湧水といった安曇野らしい風景を楽しめます。アップダウンが少なくほぼ平坦なルートなので、普段、自転車に乗り慣れていない人や子どもでも気軽にサイクリングを楽しめます。
さて、穂高駅を出たら、まずは駅から自転車で1分のところにある穂高神社で参拝を。安曇野を開拓した安曇族の祖神が祀られていて、古くから長野県の大社として知られる神社です。日本アルプスの総鎮守とされ、上高地に奥宮、奥穂高岳山頂に嶺宮があり、交通安全の守神としても信仰を集めています。
穂高神社で交通安全祈願をしたら、大王わさび農場へ。駅から案内看板があるので、道に迷うことはありません。
大王わさび農場までの道のりには田園風景が広がり、春には田植えにむけて水が張られます。その道を振り返ると目に飛び込んでくるのが、田んぼの水面に残雪の北アルプスが映る、安曇野の春を代表する風景。「水鏡」とよばれる、この時期の安曇野ならではの光景です。ここは写真に撮らずにはいられません! “振り返る”のがポイントなので、うっかり通過してしまわないように。
日本一広大なわさび園
「大王わさび農場」で
ほっとひとやすみ
穂高神社から「大王わさび農場」までは約1.5kmの一本道。県道を越えて到着します。途中、橋から見下ろす小川の透明な流れがきれいなこと! 安曇野では北アルプスの豊富な雪解け水が伏流水となり、1日70万トンも湧き出しているのだとか。至るところで湧水の美しさを実感できます。ちなみに「大王わさび農場」だけでも1日12万トンが湧出しているそう。
では、「大王わさび農場」で休憩がてら散策を。自転車は駐車場の一角に設けられている駐輪場に停められますし、シェアサイクルならステーションがあるので、一度自転車を返却することもできます。
場内に広がるのは一面のわさび園。というのも、実はわさびは長野県が生産量全国1位で、その9割が安曇野産。市内の穂高地区には100以上のわさび園がありますが、なかでも「大王わさび農場」は南北およそ1kmにわたり、面積4万5,000坪(約15ha)と、日本一広いわさび園を誇るのです。場内は入場無料で自由に散策でき、飲食店や体験施設も揃います。また、1989(平成元)年に黒澤明監督の映画『夢』のロケ地となった三連の水車が、撮影時のまま現存されているのも見どころです。
なお、湧水の水温は一年中13~15℃で保たれており、5月初めから9月末までは、直射日光と水温上昇を防ぐために「寒冷紗」とよばれる黒い幕で覆われます。ただ、わさびは一年を通して収穫されるため、農場では毎日収穫作業が行われていますし、フードコートでは「本わさびソフトクリーム」や「わさびコロッケ」「わさびジュース」といったわさびグルメがいつでも楽しめます。
「大王わさび農場」をひと通り満喫したら、続いて穴場スポットへ。来た道を戻り、清流・万水川(よろずいがわ)にぶつかったら、全長約2kmの平坦な土手「せせらぎの小路」を進んでみます。こちらも案内板があるので迷うことはありません。
未舗装の道なので車の通行が少なく、ほとんど観光客もいないので、観光のハイシーズンでも周辺のにぎわいが嘘のように静か。川のせせらぎや鳥の鳴き声を聞きながら木漏れ日のなかをのんびり走ると、このうえない心地よさを感じます。並行して流れる万水川からは少し高台になっているため、上から清流の美しさを確認したり、木々の間から北アルプスを眺めたり。また、6月頃には芳香を漂わせるニセアカシアの白い花を楽しむこともできます。
「せせらぎの小路」を抜け、さらに万水川沿いを100mほど進むと見えてくるのが「安曇野わさび田湧水群公園」。安曇野わさび田湧水群は、環境省の「名水百選」に選出され、安曇野市は、国土交通省の「水の郷」にも認定されています。
膝丈ほどの水深の湧水がこんこんと湧き出ており、手で水をすくってみると、水の美しさ、冷たさを感じられます。この水が安曇野市内のわさび栽培に用いられ、さらにわさび園からの排水でニジマスや信州サーモンの養殖も行われるのです。
なお、湧水は思わず飲みたくなるほどの透明感ですが、飲用するなら、公園から500mほど東へ。宿泊施設「ビレッジ安曇野」や「安曇野ガラス工房」「田淵行男記念館」などが集まる「安曇野の里」に湧き出している水は飲用可能で、水を汲みに観光客のみならず地元の人も途切れることなく訪れています。
ランチタイムには
わさびとともに味わいたい
信州そばを
さて、安曇野といえば、清らかな水で育まれ、手打ちされた信州そばも外せません。市内には多くのそばの名店がありますが、湧水群公園からアクセスしやすいのが「そば処 安留賀」。看板が大きくわかりやすいので見逃すことはありませんし、広い駐車場は余裕をもって自転車を停めることができます。ちなみに駐車場の一角には道祖神の顔出しパネルもあるので、記念撮影も楽しめます。
※「そば処 安留賀」は、2023年5月に閉店しました。
おすすめは信州そばと信州サーモン丼がセットになった「あづみ野セット」。そばの量は半せいろから大盛りまで選べ、自分ですりおろしたわさびを薬味にできるのもポイントです。
お腹が満たされたら、県道から国道に戻り、穂高駅へと戻ります。国道は車の交通量が多いので要注意。自転車で走れる歩道もあるので、看板の指示に従って進みましょう。
今回の周遊ルートで約9km。ゆっくり巡って40~50分ほどなので、散策や食事も含めて半日かけて楽しめる手軽なルートです。さらにこのコースから少し足を伸ばすだけで、近代彫刻家・荻原碌山の彫刻や絵画・書簡等が展示されている「碌山美術館」や桜並木が美しい「早春賦歌碑」といった観光スポットのほか、パン屋やカフェなどもいくつもあり、寄り道しながら楽しむことができます。
また、電動自転車であれば、今回のルートからさらに遠くへと足を延ばしてみては。上り坂にはなりますが、通称「山麓線」とよばれる道路沿いには隠れ家のような小さな美術館やギャラリー、カフェやショップが点在していて、自転車で巡れば、よりディープな安曇野の魅力を発見できることでしょう。自転車のサドルから、車での旅と違った安曇野の景色を感じてみませんか。
更新日:2023/06/01
おススメポイント
電動機付の自転車がレンタルできるので、多少の上りも苦になりませんし、穂高駅前の観光情報センターでは安曇野に関するさまざまな情報を入手できるのも便利です。今回紹介した場所以外にも安曇野にはさまざまなおすすめスポットがあるので、サイクリングマップとともに楽しんでみてはいかがでしょう。
また、新緑の時期の安曇野は田んぼにきれいな水が張り、北アルプスが水鏡にシンメトリーに映る安曇野らしい風景を満喫でき、湧水群公園では五感で水の美しさを感じることができます。
自転車なら農作業をしている地元の人とふれあったり、田舎暮らしのさまざまなシーンに出合え、カフェやパン屋といった小さなショップにも気軽に立ち寄ることができるのも魅力です。安曇野でのんびりと自転車の旅を楽しんでみませんか。
安曇野市観光交流促進課
安曇野シェアサイクル
開催時期 | 4月~11月 |
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料金 | 15分100円/12時間最大1,500円 |
TEL | 0263-82-3133(安曇野市観光協会) |