江戸~明治時代の面影残る
蔵の町・須坂
江戸時代に須坂藩・堀氏の陣屋町として栄え、また街道が交差する場としてさまざまな商取引が行われた須坂市。明治時代に入ると近代製糸業で隆盛を極め、豪商が次々と誕生しました。そんな須坂市には、当時の繁栄をしのばせる土蔵の商家やまゆ蔵がいくつも残り、蔵の町並みが広がっています。
現存する蔵のほとんどは江戸時代末期から明治時代に建てられたもの。現在は博物館や美術館、観光案内所などに姿を変え、大切に保存・活用されていますので巡ってみましょう。各施設へは徒歩で移動できます。
街歩きの拠点は、長野電鉄「須坂駅」から徒歩10分ほどの場所にある「蔵のまち観光交流センター」がおすすめ。明治中期に建築された建物で、製糸業隆盛時にはまゆ蔵として使用されていた近代化産業遺産です。観光案内所と休憩所を兼ね備え、お土産の販売やレンタサイクル(有料)の貸し出しも行っています。
お花見、動物園、果物狩り、グルメ…
子どもと一緒に楽しめるスポット満載
須坂市には公園や動物園、美術館・博物館が多く、親子で楽しめるスポットが豊富にあります。
「日本さくら名所100選」に選ばれている「臥竜公園」では、例年4月中旬から下旬にかけて約600本の桜が咲き誇ります。一周約800mの池の周りを散策するのもおすすめ。満開の頃にはライトアップもされます。園内では名物「真っ黒おでん」を味わえるお店が数軒あり、持ち帰りも可。公園内を散策しながらお花見を楽しみましょう。
臥竜公園には「須坂市動物園」が併設され、約50種250点の動物が展示されています。大型遊具のある遊園地もあるため、一日中楽しめるスポットです。
「世界の民俗人形博物館」「須坂版画美術館・平塚運一版画美術館」「歴史的建物園」の3施設が集まった「須坂アートパーク」では、例年1月中旬~4月まで「三十段飾り 千体の雛祭り」が開催されます。高さ約6m・30段のひな壇に1000体のひな人形が並ぶ様子は圧巻です。江戸時代から平成までさまざまな年代のひな人形を見ることができ、中には非常に貴重な物も。期間中は3施設で合計約6,000体のひな人形が展示されます。
農業生産額の約80%を果物が占める須坂市。雨が少なく日照時間が長いという果樹栽培に適した気候条件がそろい、全国でも有数のフルーツ産地です。
そんな須坂市産の果物を存分に味わうなら果物狩りがおすすめ。果物狩りを楽しめる農園が豊富にあり、収穫の楽しさも体験できる子ども連れに人気のアクティビティです。
須坂市内には和菓子店や洋菓子店が約30店舗あり、近年では須坂市産の果物をふんだんに使った“フルーツスイーツ”を味わえるお店も増えています。
須坂に訪れたらぜひ味わいたいのがご当地グルメ「みそすき丼」。須坂みそと伝統野菜の村山早生ごぼうを使ったすき焼きをご飯の上に乗せた料理です。ご飯が進む甘辛い味付けで子どもにも人気の一品。明治から大正時代、製糸工場主が生糸の買い付けに訪れた生糸商人をもてなす際にふるまった料理が元になっています。
須坂市郊外に広がる大自然は“遊びの宝庫”
須坂長野インターチェンジから車で30分ほどの場所には「峰の原高原」が広がっています。北アルプスなどの山々を望む標高1,500mの高原で、真夏の平均気温は19.6℃と避暑地としても人気。キャンプや登山・トレッキング、各種スポーツを楽しむ人でにぎわいます。キャンプ初心者や特別なキャンプギアを持っていない人でも安心のグランピングも楽しめます。個性豊かな約40軒のペンションが立ち並び、趣向を凝らしたおもてなしを受けながら充実した高原ステイも可。冬にはスキー場がオープンし、高原リゾートを一年中満喫できます。
「五味池破風高原」には長野県最大級のレンゲツツジ群生地があります。例年6月中旬~下旬に約100万株が咲き誇る光景は壮観。遊歩道が整備されているため比較的歩きやすく、北アルプスや北信五岳、善光寺平への眺望を楽しみながら散策できます。9月上旬からはエゾリンドウの見頃、10月上旬ごろから紅葉と続きます。
須坂駅から東へ約1.5km地点にある里山「坂田山 共生の森」は、遊歩道などが整備され、プチトレッキングにおすすめ。展望台からは市街地や北アルプスなどの山並みを一望でき、春には枝垂れ桜が咲き誇ります。近年は、大人気アニメのワンシーンに登場する大岩にそっくりな「竜の割石」を見に訪れる人も少なくありません。
その他、花の名所でもある「豊丘ダム」や“日本の滝百選”にも選ばれている「米子大瀑布」など、大自然を満喫できるスポットが満載です。
写真提供・協力:須坂市観光協会
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