エリアガイド東信州エリア
文人墨客や外国人観光客も魅了した、浅間山麓の高原リゾート
千曲川沿いの豊かな穀倉地帯に広がる東信州は、避暑地軽井沢をはじめ、古くから高原リゾートとして開拓されてきたエリア。晴天率も高く、高原野菜やワインなど、名産品も豊富です。
ワインツーリズムで、東信州エリアを満喫
千曲川の上流域に位置し、標高600m以上の高原リゾートとして開けてきた東信州エリア。高原の城下町・小諸市や上田城をシンボルとする上田市、鯉が名産の佐久市、天下無双の名力士雷電が生まれた東御市、そして避暑地の軽井沢町と、風光明媚な光景が広がり、浅間山が静かに山麓のまちを見下ろしています。 長野県のなかでも晴天率の高さは抜群。高燥清涼の気候と相まって、高原野菜やワイン、日本酒の生産などが盛んに行われています。とくに、東御市を中心とする一帯は、千曲川ワインバレーの一部で、ワイナリーが次々に誕生。それらとレストランやぶどう畑、温泉などをめぐるワインツーリズムも人気を博しています。
東御市にある湯の丸高原や上田市の美ヶ原高原、小諸市の高峰高原は、ドライブに最適な観光スポット。天然記念物となっている60万株のレンゲツツジの大群落が見られる湯の丸高原は花高原としても親しまれており、秋にはカラマツ林の紅葉も見逃せません。
上田市内から武石川沿いに入る美ヶ原高原は、標高2000mの高原台地。北アルプスや八ヶ岳、中央アルプス、富士山など、空が抜けたと思うような360度の大展望が広がります。
東御市周辺はもともと巨峰の産地。かつての桑畑などの開墾も進み、ワイン用ブドウの栽培が盛んになっています
美ヶ原高原のシンボル、美しの塔。高さ6.6m、上部に鐘が下がり、詩人尾崎喜八の詩碑と山本俊一の胸像がはめこまれています
カラマツの黄葉が美しい小諸市の高峰高原。雲海の先には八ヶ岳連峰と、晴れた日にははるかに富士山も望みます
今も感動を呼ぶ小説の舞台となった美しき村へ
明治時代にカナダ人宣教師に見いだされ、国際的な避暑地として多くの文学者や外国人観光客を惹きつけた軽井沢。今も簡素な美しさを見せる教会や緑陰の奥深くに点在する別荘地に、どこか異国の香りが漂います。
軽井沢ゆかりの文人墨客は多く、北原白秋や芥川龍之介、堀辰雄、立原道造、室生犀星などが逗留しました。なかでも『美しき村』や『風立ちぬ』を著した堀辰雄は、手製の地図をつくるなど、軽井沢暮らしを謳歌していた様子がうかがえます。
軽井沢町の初の教会、日本聖公会教会。手前の銅像は、軽井沢別荘第1号を建てた初代宣教師のアレキサンダー・クロフト・ショー
軽井沢町の碓氷峠見晴らし台からは、雄大な浅間山や八ヶ岳等が眺望でき、山々から紅葉前線が裾野に広がるのが一望できます
堀辰雄が愛した山荘を旧軽井沢から軽井沢高原文庫敷地内に移築し、内部を公開しています。敷地内には有島武郎の別荘も
歴史ファンが何度も訪れる城跡と信州最古の温泉
上田は、NHK大河ドラマ『真田丸』の舞台となった城下町。天下の知将真田昌幸によって、城を要に扇型の町割りをし、中心部に侍町を、その外側に商人町と職人町が配置されました。直角に2度曲折する枡形など、歴史ファンにはたまらない遺構も見ることができます。上田市真田には真田氏歴史館もあり、真田一族の歴史や活躍をより深く知ることができます。
徳川軍を完膚なきまでに撃退した上田城は、難攻不落の城としても有名です。城跡公園内にある真田神社は、〝落ちない〟縁起の良い神社として、受験生にも人気があります。
上田市の南西に広がる塩田平は、鎌倉幕府によって守護所が置かれたところで、鎌倉文化がいっせいに花開きました。のどかな山里には、国宝・八角三重塔がある安楽寺など、優美な古寺名刹がたたずみ、往時の栄華を偲ぶことができます。
神社仏閣をめぐった後は温泉でゆったり。別所温泉は、信州最古といわれる温泉。俗化されていない温泉街のひなびた風情も心地よく、湯宿や3ヵ所の外湯で湯浴みを楽しめます。
慈覚大師が開基したと伝えられる安楽寺。本堂の裏手には、国宝の八角三重塔がある。当時の貴重な文化財も多く残されています
塩田平を望む高台にある前山寺は、弘法大師によって建立されたと伝わる。庫裏でいただくクルミおはぎは、絶品
真田氏に関する古文書、武具等を展示した真田氏歴史館。模型、写真などにより真田一族をわかりやすく解説しています